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働き始めた町工場での日々と付き合いたての彼女との日々

SSが鉄だとか、ステンと書いてあればステンレスだとか…そんなところから始まった。

あまりに古い機械が多く、工場内の雰囲気は高度成長期の町工場のようだ。

古いじゃじゃ馬な機械達は朝は機嫌が悪く、まるで肩が温まるまで球が走らないピッチャーのよう。

単能盤で削る小さめのボルトのその姿はまるでピストルの弾のごとくに見えるため、時折、軍需工場で額に汗をしている気分になる。

焼き曲げは見ているだけで恐ろしいし、刃をバイトと呼ぶことにもまだ慣れず。

マイクロメーターだのゲージだのノギスだの、ものさしや三角定規しか触ったことのない自分には物珍しい。

出来上がりの品を時折ゲージやノギスで測ってやらないと、続けていくうちに大きさが狂うじゃじゃ馬を相手に悪戦苦闘。

油にまみれたコレットは、直径サイズの表示が見えなくなるほどに油にまみれている。

金属バットのように重く長い鉄の棒の先を削るのも、宮本武蔵よろしく二刀流でこなし両腕の筋肉はパンパンである。

NCの画面に映し出されたプログラムは一体何が書いてあるのか意味もわからず、プラスのXだのマイナスのZだのSは回転だのちんぷんかんぷんであり、−1.5加算だのバイトを合わせて原点設定に記憶させるだの踏んだり蹴ったりだ。

パルスってなんやねん…といった状態ではあるし、玉取りとクレーンの資格が別資格の意味がわからない。

曲げのプレスはがっちゃんがっちゃん恐ろしい音をたてるし、ローラがけの油量の多さには参る。

「けい」ってなんやねん…って聞いてみたら直径の「径」だとか言ってるし…

と、毎日違う機械をやり逃げよろしくやり倒す日々ではあるが楽しく過ごしている。

もうすぐゴールデンウイーク。

サービス業しか経験したことのない自分にとっては学生時代以来の初の黄金週間とも言える。

ほぼ定時で祝日や日曜が休みだなんて余裕だぜってくらいに思ってはいても、休日となると意外に身体が疲れていることを実感する日々でもある。

月初めには入社以来初の休日に誘われたバーベキューにガールフレンドと参加したはいいが、疲れが出てきてやる気を失った自分の姿に嫌気がさした彼女が機嫌を損ねたり、こないだの土曜出勤のあと仕事帰りに油にまみれた作業着片手に二人で桜を見た後ピザとワイン、数日後は彼女に連れられた韓国料理屋で舌が痺れ、翌日肛門から火を吹く始末。

昨日は昨日でラブホの浴室で滑って転び脇腹を痛める苦痛を味わい、今朝から咳をするのも辛い。

定時で帰り、定期に休日。

そんな製造業も慣れぬ今の疲れはなかなかのものである。

あと、気温が上がってきたが、夏は恐ろしいらしい。

今夏はこの体重を維持できるかどうかに鍵がかかっているように思えるのであった。